コンサルタント養成コース

相手の「ウソ」を見抜くこと

無事コンサルティングの契約を獲得し、診断から開始しました。報告書を作成し、先方でプレゼンをしたのですが、「事実誤認が多い」と指摘されてしまいました。ヒアリングはきちんと行なったつもりなのですが、何がいけなかったのでしょうか?

口頭であれ文書であれ、「ウソ」を鵜呑みにすると、診断報告書は「事実誤認」だらけになってしまいます。

相手の「ウソ」を見抜くこと

まず、ヒアリング対象者の言葉を正確に理解できていたかどうかという問題がありますが、コンサルタントとしてそれができないのは論外として、ひとまず置いておきましょう。さらにその次の問題について考えてみます

ヒアリングにあたり、相手が常に真実を語っているとは限らないということは、念頭に置いておくべきです。

人間ですので、見栄や保身の気持ちから、あからさまなウソとまでは言わないまでも、真実をぼかして発言したりするのは、よくあることです。

そのような"ウソ"を見抜くためには、ヒアリングでもさまざまな工夫が必要です。そのいくつかをご紹介しましょう。

オープンクエスチョンを使う

オープンクエスチョンとは、Yes/Noで答えられない質問です。逆に、Yes/Noで答えられる質問はクローズドクエスチョンです。

クローズドクエスチョンで、たとえば「営業担当者の教育はきちんとやっていますか?」のように質問されれば、「やってません」とは答えづらいものです。

そこでつい、「ええ、何とか一応は・・」と答えたりします。その結果、診断報告書に「営業担当者教育はきちんと実施されている」などと書いてしまうと、とんでもないことになります。

突っ込んだ質問をしてみる

営業担当者教育について「ええ、何とか一応は・・」を相手が答えたら、「どのようにやっていますか?」のような突っ込んだ質問、それもオープンクエスチョンを使って尋ねてみることです。

「えーっと・・、OJTでやっています」と答えたとしましょう。

中小企業レベルの教育でOJTと言えば、すなわち「やっていません」と同義だと思ってよいです。

さらにOJTの内容について突っ込んで質問していけば、それがわかるでしょう。診断報告書には「営業担当者教育は体系的かつ計画的には実施されていない」と書くことになります。

同じ質問で裏をとる

相手が根っからの「ウソつき」で、「営業担当者教育? ちゃんとやってますよ!」と答えることがあるかも知れません。

それに騙されないためには、他のヒアリング対象者にも、同じ質問をすることです。いわゆる「裏をとる」わけです。

一人が言ったことを、すべて鵜呑みにするようなことは避けましょう。

各種資料も鵜呑みにしない

「ウソ」の存在は、ヒアリングへの回答に限ったことではありません。診断のために預かる各種資料にも、「ウソ」が存在し得ます。

世の中には「建前」と「本音」があります。文書にはこう書いてあっても、実態は・・・ということが、よくあるのです。

典型的なのが、決算書ではないでしょうか? 銀行から融資を受けている中小企業は、業績不振であっても赤字決算を避けるものです。

程度の差はありますが、要は、決算書の数字は"粉飾"されている可能性があるということです。

"粉飾"された数字で財務数値を分析しても、意味がありません。ですので財務分析は、まずは粉飾部分を取り除くことから始めなくてはいけません。

たとえば期末在庫が過大に計上されていたり、不良債権や不良在庫が決算に反映されていないといったことがあれば、適正な数値に補正したりします。


口頭であれ文書であれ、「ウソ」を鵜呑みにすると、診断報告書は「事実誤認」だらけになってしまいます。クライアントの「ウソ」を見抜くことも、コンサルタントとして重要な能力なのです。

※併せてインタビュー(ヒアリング)の留意点もお読みください。